今回はお仕立ての一部分ではありますが
重要な部分のお話をさせて頂きます。
注文服では同じ生地、同じ採寸、同じ補正を
施しても本縫い(縫製)によって仕上がりは大きく違ってきます。
スーツは良く肩で着ると言われています、
これは上着に袖を通した時に肩に感じる着具合の事を指すのですが
これには肩入れと呼ばれる製作工程の技術が関わってきます。
これは上着の要の部分であって肩入れが良いと肩周りに負担感が少なく
柔軟性もあり動き易い服になります。
例えば体に合った服でもこの部分に機械縫製を多用すると
硬くなりがちなのでやはりハンドメイドに分があるでしょう。
そして縫製の段階では度々縫製職人とテーラーラトの間では
肩入れについての出来具合に検討を重ねております。
今回の出来上がりの画像も肩回りに無駄な皺等が出ずに
胸周りにかけて美しい立体感が出ております。
中の肩パットや芯地は薄い物を使用しているのですが
綺麗に肩に乗っている出来栄えは美しいスーツの要素
であると共に職人さんに感謝です。
今回は西ヨークシャーのミル(織元)の
スタンドイーブンのご紹介をさせて頂きます。
バンチ見本は赤い表紙で目を引くような印象を受けますが
中身の生地は高品質で伝統的な英国生地を作り続けております。
日本では後発的な銘柄ですが他の一流の英国製に比べても
遜色なく品質の割にこなれた価格ですのでお得なメーカーとも言えます。
またハンドメイドによる丹念にな上がりを与えると
張りがありながらより立体的で美しい
端正な装いのスーツに仕上がる事でしょう。
ビジネススーツにも通用するような
渋目の発色の茶系スーツが完成しました。
今回も大きなご体格の方でしたのでなるべく
スマートに見える仕上がりにさせて頂きました。
画像では分かりずらいのですが同色系のピンストライプも入っており
スタイリッシュな雰囲気を出しております。
また生地の伸縮性の少な目なのでユトリ具合を通常よりも大きく取り
日常の動作等にも負担感の少ない着心地に致しました。
このような渋めの茶系スーツはかしこまり過ぎず、
ラフ過ぎず趣向性を持ちながらビジネスシーンにも合う良さがあります、
これからの秋冬の季節にも良く合う色でもありますね。
紺系グレー系以外でお探しの方は一度お試しされては如何でしょうか?