H・レッサーのレスロン(トニックタイプ)を使った
仮縫い時の写真です。
ご注文主のお客様はこの服が2着目でしたので
初回で完成された型紙を使用しました。
フィッティングは煮詰められていましたので
大きく操作することは必要ありませんが
1着目はアイリッシュリネン、2着目は非常に腰の強い
モヘア入りのトニックタイプと生地の性質が大きく違うので
ユトリの取り方に注意しながら作業を進める
必要があります。
とりわけ後者の方は肉厚があり伸縮性も少ないので
窮屈に感じる所を僅かに広げたり、
カーブのラインを型紙に変更したりする必要がありました。
この場合殆どの場合は数ミリ程度の操作になりますが
毎回生地の種類の違いに、最適なお仕立てを
進めて行く所もフルオーダーならではの
良さと確信しております。
またテーラー・ラトでは全てのお仕立てに着る方専用の
型紙を製作しデザインやスタイル、着心地、生地の性質等を
総合的に反映させながら1着ごとにお仕立てを
進めて行くスタイルをとらせて頂いています。
今回で3着目のお客様の夏向き3ピーススーツが出来上がりました。
初回作の参考URL(http://www.tailor-lato.com/ja/blog/c1...)
使用した生地はテーラー・ロッジ(英)のピンヘッドチェックの
似織りダーク系無地、キッドモヘア60%混紡で上質な張りと
光沢感がありますが少し離れて見るとマットで落ち着いた
発色をしております。
お仕立てもベストを追加されましたので前作の型紙を
使用し、ジャケットを中心に微調整させて頂きました。
フルオーダーは2着目、3着目になると、更に煮詰まり
着る方にとって理想的な服となってきます、
また作った服も後々調整や修理の範囲が広く可能ですので
合理的でエコな服だと思います。
2Ply(2双糸)のフレスコ(1枚目と2枚目の画像)
は確りした腰を持ち、
暑い時期に涼しさとスーツ本来のボリューム感のある
装いを実現してくれます。
特にフレスコの商標を持っているマーティンソン社は
長年フレスコを主力商品として作り続けてきました、
一般的にはポーラと昔から呼ばれていますが
艶の無いざっくりとした風合いは落ち着いた風格で
ラフな感覚のジャケットやパンツにも良く合いますので
ボタンの変更やパッチポケット等にされても
宜しいのではないでしょうか。
また3枚目の画像は今年からお取り扱いを増やしました
ウィリアム・ハルステッドは英国ヨークシャーの
老舗ミル(織元)で南アフリカの高級なモヘアを使った
生地作りを得意として来ました。
近頃はこの画像の商品のように織り方を工夫した
技術で防水性を高めた生地も新たに出て来ました。
4枚目の画像は同社のモヘア混紡のギャバジンで
ビジネス向きとしては特にお奨めです。
以前のスーツ(1960年代頃)には良く見かけた生地でした。
コート等にも良く使われていましたので
摩擦にも強く実用的な生地として、
またエレガントな風合いも持ち合わせていますので
合理的なスーツ地とも言えますね。
この生地は2/2Twill、縦糸を2倍にした
織りによって皺に強く、モヘアを混紡させる事で
夏向きに着て頂けますお奨めの一品です。
今回ご紹介させて頂きました生地は一部ですが
他にも様々な色柄が揃っておりますので
宜しければ手にとってご覧頂ければ幸いでございます。