本日は10年前に作られた春夏用スーツを
ご紹介いたします。
画像の物はテーラーロッジの260gのオールウールを
ハンドメイドで仕上げました。
完成以来、毎年着続けクリーニングも3回程しましたが
型崩れなく、ほぼ出来上がり時のまま維持できています。
よく仕立て屋では言われることですが(オーダーの服は
時が経つにつれて良さが出てくる)、また着る人にも
より馴染んで飽きが来ない。
ただおお手入れは大事なので着た後はハンガーに掛けて
ブラッシングをする事を毎回欠かさないで下さい、
手間はそれほど掛からないので習慣にすると
意外と楽しいものですよ♪
2枚目の画像は胸周りから腰にかけて
立体的なカーブのシルエット、
3枚目はラペルのコバ(淵)をハンドでステッチを入れ
て型崩れ防止と手縫いの味を出しています。
昨日ご来店された方でボタン取替えのお直しも
お受けさせて頂きました。
画像のように10分程あれば取替え完了です、
スペアのボタンがあれば付け替えさせて頂きますので
宜しかったらお持ち下さい。
また他にもジャケットと
靴のオーダーもお受けさせて頂きました、
お客様はジャケットの色に靴を合わせることで
悩んでおられましたが春らしいサックスブルー系の
ジャケットに焦げ茶色でダブルモンクの靴に決まりました。
これにオフホワイトのオックスフォードのシャツに
濃紺系又はドット柄のタイ等も面白いと思います♪
また近頃会社やオフィス、ご自宅等にも出張を
承っています、お忙しい方や場所を動けない方には
便利と思いますのでお気軽にご相談下さい。
服は複数のパーツから作られているのはご存知の方も多いと
思いますが、それがどのようにして作られ、使われるのかは
業界の方を除いては多くないでしょう。
最終的にはこの服のパーツを縫い合わせて
上着なりパンツなりの形に仕上げていきます。
オーダー服でこのパーツを作るのには大別して2通り
の方法があります、一つは採寸した寸法をコンピューター
に入力して自動的に裁断する方法、もう一つは
紙に線を引き、型紙を作ってそれに沿って裁断する方法。
つまりコンピューターを使って自動的にする裁断と
手作りで作った型紙を元に鋏で沿って裁断という事ですが
コンピューター裁断の場合早くて量産出来ますので
パターンオーダーやイージーオーダーに採用される場合が
多くコストを下げる事が出来ます、コストが下がるのは
それ自体は良い事ですが、採寸時に測った
数値の部分以外は正確に合わせる事が出来難くなっています。
また仮縫い時にも採寸部の調整範囲に制限があり
ますので満足出来る補正が後から出来ない場合が多くあります。
人の体にはあらゆる体型や左右のバランス、
骨格等による癖も影響してきますから
これらを数値化するよりも人の手や目で確かめ
型紙に造形として反映させる方が最良で確実なのです。
そこでテーラー・ラトでは全てのお仕立に於いて一人一人の
型紙を手作業で起したフルオーダーの形式をとらせて頂いて
います、手間が掛かるので時間もコストも増えますが
調整範囲は遥かに広く、ポケットやボタン位置等の
デザインの自由度もイメージした位置に配置する事が
可能になります。またこの型紙を保存する事で
次回から更にバランス良く熟成させる事も出来ます、
このように型紙は服の骨格の元になる部分
を支えていますから縫製技術と並んで
出来上がりに大きく影響します、お客様には見えない部分ですが
着る方に自然に溶け込むような理想的な
服作りが私達の楽しみでもあります。
またこの関連のお話もそのうちに。