ジョンクーパー・ドブクロス

ジョンクーパー・ドブクロス

Date : 2019.08.15 permalink
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ウールの持っているボリューム感と腰のあると言われる典型的な生地を今回はご紹介させて頂きます。
タイトルに出ておりますドブクロスとは30年位前まで使われていた昔の低速織機の事で
ウール本来の風合いを損なわずに織り上げる事が出来てスーツに仕上げた時も非常に風格のある仕立栄えになります。
今となってはこの低速織機は世界にも殆ど存在せず織り上げられる生地は往年の名品と言えるでしょう。
テーラーラトとしましては主に過去に生産されていた
素晴らしい生地の存在を知って頂きたいと思い掲載させて頂きました。
以下は仕入れ元による文言のご紹介になります。

 ”英国が誇る老舗ブランドのジョンクーパーが、創出するドブクロス生地。
その風合いは大変柔らかく、類まれなる気品を持ち合わせています。
(ドブクロス)とは服地を織る機械のことですが、本来は産業革命当時の英国織物産業の中心地であった村の名前です。
そのドブクロス村で発明された機械なのでDOBCROSS LOOM(ドブクロス織機)と呼ばれるようになりました。
そして、その機械で織られた生地がドブクロス生地になります。

この機械は1800年代後半~1960年辺りまで生産されてきましたが、
大戦後の技術革新により、より高速な織機に取って代わられていきました。

現在の(レピア式織機)や(エアジェット式織機)は緯糸を高速に通すのが特徴で
特にエアジェット式では一分間に600回通す事が可能になりました。
この高速で緯糸を通す作業は、織機の稼働使用そのものを変えました。
高速で織機を動かすため、特に経糸をコントロールする綜絖(そうこう)という箇所の稼働域が小さくなって行きました。
従来上下に開いていた綜絖が上にしか開かなくなったのです。
その結果緯糸のテンションが強くかかり、緯糸をはさむ経糸も上から押さえつけるようになった為、
ウールが持つ柔らかな自然な風合いが殺されていったのです。

対してドブクロス織機は従来通り木製のシャトルでたて緯糸を通し、そのスピードは一分間に約100回。
一日に約40mしか織る事が出来ません。
しかし、この熟練職人が木製シャトルを使い、ゆとりを持って丁寧に織り込んだドブクロス生地が持つ、
本来の優しい風合いは生産性のみを追及した現在の織機では到底真似る事は出来ません。
今ではハダースフィールドのDobcrossWeavingCompanyのみが14台しか残っていないドブクロス織機を使って生産されております。”

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