テーラーラトでは秋冬物に向けての準備をさせて頂いている所ですが
先日3シーズン用のスーツが完成しましたので掲載させて頂きます。
画像の出来上がりは一人の職人が縫ったハンドメイドになります、
当店ではご注文時に良くマシンメイドとハンドメイドの違いを
ご質問頂く場合も多いのですが大きく違う部分はいくつかの工程の中でも
最終段階の本縫い呼んでいるものです。
主にいくつかの専用ミシンを使って合理化しコストダウンをはかった
流れ作業の縫製と一人または数人のグループがお客様お一人の為に
熟練した技術を駆使した縫製の2種類になります。
そして出来上がりは特に上着の肩周りに違いが出ます、
手縫いの物は人の手の感触で縫うので糸を緩い目に柔らかく仕上げる事が出来、
それにより上半身の着心地も良く肩周りの動きの追従性にもより優れます。
更に体の曲面等に合わせてアイロンでくせ取りと言う技法も取りますので
動き易さに加えて立体感のある仕立栄えがします、
いわゆる量産型ではなくてテーラーが得意としている分野になるでしょう。
それと長年のご使用に対する型崩れ等の耐久性にも違いが出てきます、
勿論ご使用状況により差が出ますが日本で一昔前は
長く着たい服をお誂え服と呼んでいた位です。
また型紙製作と着せ付けによる仮縫い、補正の仕方は両者共同じ手法でお作りさせて頂いております。
今回は最初にお作りさせて頂いてから
数着目の完成したスーツをご紹介させて頂きます。
テーラー・ラトでは最初の採寸後に店内にてお一人お一人の型紙を製作し
1着目が完成した後も保存させて頂きます。
これを2着目にご注文の際には再使用致しますので2着目時は採寸する必要も無く、
1着目の出来上がりからスタートが出来ます。
またこれにより更に補正を加えて改良をする事が可能になります。
2着目以降はこれを繰り返す事になりますが生地の性質やご体型の変化にも
適応する事が出来ますので常にベストな服作りを維持する事ができます。
同時にお客様にとっても次の服はどういう風に作りたいのか
具体的にイメージもして頂き易いと思います。
テーラーとしては昔からある古典的な手法ですが
お客様のお望みの服作りやテーラー側から見た最良の手法は
機械化が進んだ現在でもコストを除けばこれがベストでしょう。
画像の服も現在は生地の性質による微調整やデザインの変更による調整に
留まっております。
最近テーラーラトでは夏服の製作またはお渡しが続いております。
その中から今回は夏スーツの出来上がりをご紹介させて頂きます。
お選び頂きました生地は湿度の高い気候に良く合う
モヘア混紡のスーツ地で皺になり難く
ビジネスシーンに於いて端正な装いを表現してくれます。
また端正とはラトでは主に胸回り肩回りを中心に
良く合った服の事を指しております、
多少個人によりお好みもありますがこの辺りが合えば
上着は8割方上手く出来たと言えるでしょう。
当店では採寸を慎重に測り、それを元に体型に合った型紙を制作し、
仮縫いで調整を加え、場合によっては芯地も加工致します。。
服作りは色々な段階を経て完成しますが一つ一つの作業は
長年の経験を元に熟成を加え、お客様との二人三脚で
ご希望の服の完成を目指します。