ます明けましておめでとうございます、本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
早速ですがリピートしてお作り頂きましたスーツが去年の末頃に完成しました、
以前から段々とお瘦せになられましたので
ご注文毎それに合わせて調整をさせて頂いております。
また他には良くある事ですがも加齢と共にご姿勢等の変化もありますので
合わせて調整致しました。
同時に重要になってくるのは完成後と完成前では
調整でカバーできる箇所が違ってきます、
完成後は範囲が限られて来るので限界がありますが
今回はもちろん完成前から調整なので理想的に仕上げさせて頂きました。
使用しましたスーツ地はスキャバルのヴィンテージで
具合の良い張りと柔らかさが持ち合わせており
低速織機の良さが出ております、とても良い仕立て映えになりました。
お好みでやや大き目のゆとり具合ですが
長時間のご着用にも快適な装いとしてお召し頂けるでしょう、
ご愛用頂けますと幸いでござい。
ご体型でお悩みの方が当店には良くご来店頂きます。
中でも鳩胸体(胸の厚みの有る)は通常の服を着ると
衿のVゾーンが弓なりになり易く正面から見たときに良く目立ちます。
また着ていても胸回りがはだけるだけで無く
着難い服となってしまいます。
この体型は出来上がってからではほぼ修正不可能で
型の製作段階から体型を把握して取り掛からなければなりません。
着せ付けによる仮縫いの段階でも微調整して行くわけですが
デリケートな箇所なので他にも肩パットや芯地の具も調整していきます。
体に合った出来上がりはすっぽりと鎧にはまるような感覚でしょうか?
標準体と同じく自然な装いでご着用頂けます
(画像は今回の鳩胸体型のお客様)。
今年の10月4日に仮縫い後の補正作業を掲載させて頂きましたが
今回はその前段階の仮縫い中の作業についてご紹介をさせて頂きます。
まず初めに殆どの場合は実際に使用する生地を使って仮に縫った服を着用して頂きます、
画像のように3つ揃えの場合はパンツ、ベスト、上着と順番に
調整を進めていきます。
仕上げの本縫いとは違い仮に縫ってあるだけなので
縫い目を解いたり詰めたりして簡単に調整を進める事が出来ます。
この時縫い目を調整する事は容易なのですがそれにより他への影響や縫い目以外の調整、
本縫い時のアイロン操作による影響等を同時に考えながら進める事に難しさが出てきます。
また調整する側(カッター)は常にお客様の骨格や型紙も念頭に置きながら作業しますので複雑になってきます、
このあたりにもカッターの熟練した技術が必要となってくるでしょう。
また熟練してくるとある程度人それぞれの骨格を把握できるようになってきますので
お客様のお好みや気にされるポイントもつかみやすくなります。
目に見えない人の想像力が必要とされますのでテーラー技術のメリットを最大限に発揮されることでしょう。
今回は製作側がどのように考え仮縫いの作業を進めているかを当店の視点から簡単に説明させて頂きました、
テーラーで仮縫いの機会がある方はご参考にして頂ければ幸いです。