服は複数のパーツから作られているのはご存知の方も多いと
思いますが、それがどのようにして作られ、使われるのかは
業界の方を除いては多くないでしょう。
最終的にはこの服のパーツを縫い合わせて
上着なりパンツなりの形に仕上げていきます。
オーダー服でこのパーツを作るのには大別して2通り
の方法があります、一つは採寸した寸法をコンピューター
に入力して自動的に裁断する方法、もう一つは
紙に線を引き、型紙を作ってそれに沿って裁断する方法。
つまりコンピューターを使って自動的にする裁断と
手作りで作った型紙を元に鋏で沿って裁断という事ですが
コンピューター裁断の場合早くて量産出来ますので
パターンオーダーやイージーオーダーに採用される場合が
多くコストを下げる事が出来ます、コストが下がるのは
それ自体は良い事ですが、採寸時に測った
数値の部分以外は正確に合わせる事が出来難くなっています。
また仮縫い時にも採寸部の調整範囲に制限があり
ますので満足出来る補正が後から出来ない場合が多くあります。
人の体にはあらゆる体型や左右のバランス、
骨格等による癖も影響してきますから
これらを数値化するよりも人の手や目で確かめ
型紙に造形として反映させる方が最良で確実なのです。
そこでテーラー・ラトでは全てのお仕立に於いて一人一人の
型紙を手作業で起したフルオーダーの形式をとらせて頂いて
います、手間が掛かるので時間もコストも増えますが
調整範囲は遥かに広く、ポケットやボタン位置等の
デザインの自由度もイメージした位置に配置する事が
可能になります。またこの型紙を保存する事で
次回から更にバランス良く熟成させる事も出来ます、
このように型紙は服の骨格の元になる部分
を支えていますから縫製技術と並んで
出来上がりに大きく影響します、お客様には見えない部分ですが
着る方に自然に溶け込むような理想的な
服作りが私達の楽しみでもあります。
またこの関連のお話もそのうちに。
先日春夏3ピーススーツの仮縫いをさせて頂きました、
画像のライトブルーのグレンチェックはユーロテックッスの
ゼファー(その名の通り軽い感覚の生地ですが張りがあるビンテージ生地)を使用しています。
仮縫いはお客様に着て頂き調整を必要とする箇所にピンを打ったり、
チョークで線を引いたりします、タイト過ぎず大きすぎず
お好みも伺い、綺麗なバランスを崩さないように
調整させて頂きました。
それを型紙に落とし込んで補正をしていきます、
素材(生地)の特徴も考えて増減する箇所もありますので
たとえ体型が変わらなくても毎回補正しています。
出来上がりはまたUPしますのでお楽しみに下さい、
それでは今日はこの辺で。
LATOをオープンして初めての仮縫いをいたしました。
各部にピンを打ち、本縫いに入る前に微調整をする事を
仮縫いするとテーラーの世界では呼んでいます。
この写真のご注文はマシーンを使ったお仕立てですが
お客様専用の型紙を当店で起し、生地に反映して仮縫い
しますのでオリジナルのデザインとハンドメイドにも劣らない
緻密な補正が出来ます。
当店が作る型紙は肩から腰にかけて緩やかなカーブ
でウエストをややシェイプしたデザインになっています、
流行を追ったものやイタリア、イギリスのデザインを
反映した物でもなく長年の経験から中庸的な日本人の体型
になじみ易い特徴を持っています。
この型紙作りを基本に着る方のお好みや、体型、流行性
、素材による変化を加えていきます、
LATOの服は長年着手頂く事や色々な場面でお使いの事も
考えていますので、あまり極端なデザインはお勧めは
していませんが、ご要望であればお受けさせて頂きます。
近年頂きますご注文の傾向としては既成スーツにあるような
スリムなスーツではなく、少しゆっくり目のスーツが
多いのです。
また生地においてもブラック系のご注文が増えてきました、
生地も沢山揃えていますが、ご希望によっては
京都の姉妹店(テーラーハタノ)や幅広い市場の中から
捜してまいります。
※写真スーツの参考価格 ¥94.000-(生地込み)