今回はお仕立ての一部分ではありますが
重要な部分のお話をさせて頂きます。
注文服では同じ生地、同じ採寸、同じ補正を
施しても本縫い(縫製)によって仕上がりは大きく違ってきます。
スーツは良く肩で着ると言われています、
これは上着に袖を通した時に肩に感じる着具合の事を指すのですが
これには肩入れと呼ばれる製作工程の技術が関わってきます。
これは上着の要の部分であって肩入れが良いと肩周りに負担感が少なく
柔軟性もあり動き易い服になります。
例えば体に合った服でもこの部分に機械縫製を多用すると
硬くなりがちなのでやはりハンドメイドに分があるでしょう。
そして縫製の段階では度々縫製職人とテーラーラトの間では
肩入れについての出来具合に検討を重ねております。
今回の出来上がりの画像も肩回りに無駄な皺等が出ずに
胸周りにかけて美しい立体感が出ております。
中の肩パットや芯地は薄い物を使用しているのですが
綺麗に肩に乗っている出来栄えは美しいスーツの要素
であると共に職人さんに感謝です。
テーラーラトではそろそろ夏服の納品が終了に近づいて来たのと同時に
秋冬物のご注文も始まって来ました。
今回はタイトルからすると一見良く分かりにくいとお思いの方も多いかと存じますが、
端的に申しますと元のご体型を隠してバランスの取れた仕上がりを目指しました。
当店にお越しになられるお客様もお一人お一人ご体型が千差万別で
毎回違った補正を繰り返しております、
そこで元のご体型はと申しますと上半身が左右ぜ前後に傾いたり
腰が前や左右に出てたり背中が丸かったり反っていたりと
なかなか既製品等では合いにくかったりもされる事が多いですね。
ただ仕上がりの目指す方向は格好良く着易い服にどうすれば
仕上がるかを毎回検討を重ねて行きます、
更にご体型の補正を施した上で丈や着心地に影響するユトリ量等も加味して行きます。
上記のような作業は一部分ですがこのようにテーラーでは一つ一つ問題点を見つけ出し解決する方法を蓄積された技術や経験で見つけ出して行きますので
人の手による製作がベストと考えております。
その分量産は出来ませんが長年ご愛着して頂ける服として
お薦めさせて頂いております。
爽やかな発色の春夏ジャケットが仕上がりました。
今回も特に拘りましたのは生地の発色を更に引き立てるような
立体感のある仕上がりを目指しました。
着心地にユトリを持たせながらコンパクトな上着丈と
ウエスト辺りにシェイプの利いたスタイルで軽快感を出しております。
ネクタイを締めて頂ければビジネスに、
ノータイであればオフにと着て頂けるでしょう。
今後も長年ご愛用頂ければ何よりでございます。